犬がアレルギーを起こした場合は、普段の生活の中にアレルゲンがあるため、そのアレルゲンを極力排除し、犬の体質と根気よく付き合っていく必要があります。
すぐに治るものではありませんので、獣医の指示のもと生活改善や治療を行いましょう。
アレルギーの原因となっている代表的なものに、ダニやノミがあげられます。
イエダニは温度と湿度の条件が整えばどんな環境下でもどんどん繁殖していきますので、犬を飼うことが決まったらすぐにでも対策を始めましょう。繁殖を抑えるために、室内の湿度を40~60%以下に下げておきます。
そして、ノミやダニのエサとなる食べカス、フケ、ほこり、毛などを室内に放置していかないよう、毎日掃除をし、犬が生活する環境を清潔に保つ必要があります。
毛布、カーテン、ソファカバーなどもこまめに洗濯をし、カーペットやソファーのホコリをしっかりと吸引し、犬が使っているベッドやおもちゃは熱湯で定期的に消毒するようにしましょう。
また、花粉症も犬のアレルギーのひとつ。花粉は、正午から夕方にかけての時間帯が最も多く飛散しています。外を散歩するのならその時間帯は避け、窓も閉めておくといいでしょう。
散歩は、花粉の飛散が少ない早朝や夜間がおすすめです。散歩の際は、アレルギーの原因となる草や花に極力近づかないように注意しておきましょう。
散歩から帰った後は、室内にアレルゲンを持ちこまないように玄関で全身をブラッシングしたりタオルで拭いたりし、花粉をこまめに落とす必要があります。
他にも、アレルギーの原因となるものはさまざま。ストレスや加齢により突然発症することもあるので、気になる症状が出たらすぐに動物病院で診察を受けるのが一番の対策でしょう。
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目次
犬のアレルギーには、薬浴がいい?
犬のアレルギー対策、治療にはあらゆる方法が用いられますが、その中のひとつに「薬浴」があります。
薬浴とは、薬剤を入れたお湯に浸かったり、薬剤の入ったシャンプーを使ったりする治療法のことです。薬浴は人間の皮膚病の治療にも用いられており、犬にも活用されています。
動物病院で、有効成分を含んだシャンプーで犬を丁寧に洗い、その成分をしっかりと皮膚に浸透されることを治療の一環として行います。
また、自宅で薬浴を行うための指導をしてくれる病院もあります。薬浴は、飲み薬や塗り薬とは違い、即効性を期待するものではありません。
しかし、普段の生活の中で根気よく続けていくことにより、敏感だった皮膚をうまく管理できるようになります。薬浴を続ければ、穏やかな改善が期待できるでしょう。
薬浴として、マイクロバブルを用いる動物病院も増えています。マイクロバブルとは、ジェットバスなどとは比較できないほどに小さな泡で温浴をする治療法のこと。
マイクロバブルはそれ自体がマイナスの電荷を帯びていて、水中に漂うプラスの電荷を帯びた微細な異物に付着して、水中をゆっくりと上昇し水面まで辿りつきます。
マイクロバブルを高密度で発生させることによりマイナスイオンが大量に発生し、水圧によって消滅。衝撃波が発生することで皮膚にほどよい刺激を与えるのです。
感染性皮膚疾患、アレルギー性皮膚疾患においてはかなり効果があるといわれています。
薬用シャンプーを使っていても、毛穴の奥に詰まっている汚れが原因ですぐにかゆみが出てくることがありますから、その場合はマイクロバブルによりかゆみの原因などを取り除きます。
薬浴をおすすめしている動物病院では、内服薬に頼らずにアレルギー性皮膚炎を改善するのを目的としており、薬用シャンプーやマイクロバブル浴を併用することにより、内服薬を使わなくても皮膚炎が治るケースが報告されています。
飲み薬や塗り薬の副作用が気になる方などは、薬浴を検討してみてもいいでしょう。獣医の説明をしっかりと受けて正しく活用しましょう。
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犬のアトピー性皮膚炎・アレルギー改善マッサージ法
中国の考えでは、体中に張り巡らされている「経路」と、その上に存在する「ツボ」があり、そこに巡っている気の流れが滞ると体の機能が低下すると考えられています。
体の機能が低下すると風邪をひきやすくなり、他の病気を発症してしまう可能性も高くなるといえるでしょう。
詳しくは獣医による検査が必要ですが、免疫力を高めるためにも、日頃の病気対策のためにも、マッサージはおすすめです。
特にアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギーは、体の免疫力が低下すると起こりやすいものですから、アレルギー対策や治療のためにも定期的にマッサージをしてあげるといいでしょう。
代表的なマッサージ方法は、4種類です。「ストローク」は、愛犬に対して「これからマッサージを行う」という合図になるマッサージ法です。
指同士にそれぞれ間隔をつくり、くしのようにして体の表面を撫でてあげます。最初はやさしく、徐々に力を強めていくのがポイントです。
「指圧」は、親指か人差し指の腹を使うマッサージ法。まずは自分自身のツボに指圧を行い、位置と強さを確かめましょう。
まずは目当てのツボに指の腹を当て、徐々に力を加えていきます。犬が気持ちよさそうな顔をしたらそこでストップ。3秒ほど抑えつづけましょう。
そのあとゆっくりと力を抜いていき、これを5回ほど繰り返します。気持ち良さそうな顔をしなくても、まんざらでもない顔をしていたらその指圧は適切だということなので続けても大丈夫です。
「揉み」は、親指と人指し指と中指の三本を使ったマッサージです。主に筋肉質な部分をほぐすときに行います。
「円マッサージ」は、人指し指は中指で、半時計周りにマッサージをする方法。特定の範囲を集中的に行いたいときに用います。
ツボは体中に存在しますが、皮膚のトラブルには膝の皿の内側上部にある「血海」というツボが良いでしょう。
ここを外側に向けて指圧してあげると、皮膚病の改善が期待できるほか、ホルモンバランスを整える働きがあるといわれています。
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アレルギー持ちの犬におすすめのシャンプーとは?
犬のアレルギーの原因のひとつは、体質です。皮脂をうまくコントロールできない体質ですと、食事で摂取する脂分を吸収しすぎて皮膚がベタベタになってしまうか、逆に脂分を消化吸収することができずに皮膚が乾燥してしまいます。
体質を変えることと、皮膚の潤いを守ることが大切。日頃のケアが重要ですが、まずはシャンプーから見直してみてはいかがでしょうか?
シャンプーの大きな役割としては、体のあちこちに付着しているアレルギー物質を洗い流すことと、清潔さを保って細菌などによる二次感染を防ぐことがあげられます。シャワーの回数は月に1~2度が理想で、温度は37~38℃くらいが適切。
必ず犬用のシャンプーを使い、シャンプー剤が残らないようにしっかりとすすいであげましょう。ドライヤーは熱くなりすぎないように手に風をあてながら乾かすのがおすすめ。
外で遊んだりして頻繁に汚れる犬もいると思いますが、毎回シャンプーをするのではなく、汚れを見つけたら蒸しタオルで拭いたりすると皮膚に悪影響を与えずにすみます。
しかし、アレルギーの症状で皮膚がジュクジュクとしてしまっている場合、シャンプーの回数が多いことや、こする刺激が悪影響を与えていることが考えられます。
この場合は擦らずに汚れを落として、油分を落としすぎないようにすることが大切です。
皮膚が乾燥している場合は保湿液を使って必要な皮脂膜を補うと良いでしょう。
中には、シャンプーに配合されている合成界面活性剤などがアレルギーの引き金となることも考えられるので、獣医さんに相談しながら飼い犬に合った製品を選ぶようにしましょう。
合成界面活性剤不使用のものや、自然の恵みを活かしたオーガニックシャンプーなども販売されています。何より、アレルギー対策は「合う・合わない」の飼い主の判断が必要不可欠。
使ってみてダメならすぐに使用を中止し、使ってみて良ければさらに良いものを探すよう努力することが改善のきっかけとなるはずです。
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アレルギー性皮膚炎の犬の正しいシャンプーの仕方
生物の体には、病原体が体に侵入することを防ぐために免疫機能が備わっていますが、花粉やハウスダストや特定の食物に対して異物とみなして免疫機能が過剰に反応することがあり、異物と激しく戦った結果が、鼻水、涙、くしゃみ、皮膚の赤みやかゆみとして現れます。
こういった症状をアレルギー性皮膚炎といい、かゆみや赤みが耳、目の周り、わきの下、足の付け根などに現れるのが特徴です。
犬のアレルギー性皮膚炎は近年増えていますが、治療法や改善法は難しいといわれており、生活環境や食生活を改善し、根気良く付き合っていくことが大切です。
アレルギー性皮膚炎の犬に共通していえることは、皮膚のバリア機能が弱いということです。
健康な皮膚の表面は適度な皮脂で覆われており、これが皮膚を保護して外部からのダメージを防いでいますが、炎症を起こしている皮膚は極端にバリア機能が低下しています。
常時乾燥していて、カビや細菌などのアレルゲンの影響を受けやすくなっていることで、皮膚の炎症が度重なってしまうのです。
また、一部の犬は乾燥ではなく脂っぽい皮膚になり、そうなると細菌が繁殖しやすくなります。
このような皮膚をダメージから保護するためにも、保湿効果や炎症を抑える効果のある薬用シャンプーを使用しましょう。
炎症を起こしているからといって躊躇せず、定期的にシャンプーをしてあげると皮膚についた細菌やアレルゲンを洗い流すことができます。
また、薬用シャンプーやローションなら乾燥している皮膚をしっかり保護し、保湿してくれるので炎症の改善にもつながります。
アレルギー性皮膚炎の犬には、薬用シャンプーの成分がしっかり浸透するようにじっくりとマッサージをするようにシャンプーをしてあげるといいでしょう。
薬用リンスも、時間をかけて浸透させてあげ、よく洗い流します。毛を乾かすときにドライヤーを使ってしまうと乾燥が激しくなりかゆみの原因となるので、タオルドライのみにしましょう。
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犬がワクチンでアレルギーに?その原因とは
犬を飼うときには、狂犬病や感染症を防ぐためにもワクチンを接種する必要があります。狂犬病予防接種以外にワクチン接種の必要があるのは、感染症を予防するために用意されている混合ワクチンです。
狂犬病のワクチン接種は法律で義務づけられていますが、混合ワクチンは任意接種で、犬用では5種~9種があります。
ワクチンはウィルスや細菌から犬の体を守る大変重要なものですが、中にはアレルギーや副作用を懸念している方もいるかもしれません。
ワクチンには「生ワクチン」と「不活化ワクチン」があり、生ワクチンは病原性を失わせた上で生きた病原体を接種するものです。
不活化ワクチンというのは、毒性を無くした病原体か、あるいは弱めた病原体の一部から作られているもので、どちらも毒性を失わせてはいるのですが、この刺激が稀に副作用を及ぼすことがあり、また、効果を高めるために加えられている科学物質がアレルギー反応の原因となることがあります。
軽度な副作用としては、注射をした1~2日後に発熱や食欲低下などが出ることもありますが、特別な処置をしなくても自然に改善します。
中度な副作用には、じんましんがあります。ワクチンを注射することによって血管が反応すると激しい痛みを伴い、真っ赤に腫れあがります。
特に、犬の場合は目の周りや口の周りなど、顔周辺に現れることが多いです。重度の副作用になると、アナフィラキシー反応を起こすことがあります。
これは、突然起こるもので、呼吸困難などに陥り生命に関わる危険があります。
犬のワクチンによるアレルギーが発生する確率は、15000分の1といわれています。
また、年齢が若く、体重が軽いほど副作用のリスクは高まるともいわれていますが、ワクチン接種後のアレルギーについては深くは解明されていないのが現状です。
アレルギーになる確率は極めて低いのですが、ワクチンを接種する際には、獣医と接種前のコンディションや接種時期などを相談することをおすすめします。
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