犬の毛や皮膚に寄生する外部寄生虫と腸や臓器や血管など体内に寄生する内部寄生虫の2つあり、愛犬に寄生する可能性のある虫はかなり存在します。
死亡するまでの重篤な寄生虫は少ないものの少しづつ、確実に犬の体を侵していく存在ですのでしっかりと駆除をし、定期的な検便で検査をしてあげることが大切です。
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目次
寄生虫が原因の犬の皮膚病とは
犬は、人間に比べて皮膚病を起こすことが多いといわれています。原因はさまざまですが、寄生虫が原因であることも多いので、皮膚に異変が見られたら動物病院で診察してもらうといいでしょう。
皮膚の外に寄生する寄生虫を外部寄生虫といいますが、その中ではノミによる皮膚炎は多く報告されています。
ノミは犬の皮膚に噛みつき血を吸うことで生きていますが、そのときに吸いやすいよう血を固めないようにするために化学成分の含まれた唾液を犬の体内に注入します。その化学成分に対して過剰に反応するのが、ノミアレルギー性皮膚炎です。
赤い発疹が出ることが多く、いつも体を掻きむしっていたり、体の一カ所だけを執拗にかいていたりしたらノミアレルギーである可能性が高いので、治療をする必要があります。
市販のノミシャンプーもありますが、効き目は一時的なものにとどまるでしょう。全て駆除することができず、またすぐに症状が現れてしまうことが大半だといえます。
ノミをすべて駆除するためにも、定期的に清掃や消毒、駆除を行うようにします。ノミ取り首輪や皮膚に垂らすタイプの薬もありますので、動物病院で処方してもらうようにしましょう。
他には、ヒゼンダニによる皮膚病もあります。ヒゼンダニは犬の皮膚にトンネルを作り寄生するため、眠れないほどの激しいかゆみを伴います。強くかきむしることによって細菌による二次感染が起き、深刻な皮膚病に発展する恐れもあります。
ヒゼンダニの活動が活発になるのは春~夏。ヒゼンダニは卵から約10日で成虫になるため、あっという間に症状が広がり悪化していくでしょう。特に多頭飼いの場合は注意が必要。
1頭が感染したらすぐに他の犬から隔離し、感染した犬が使ったブラシを使わないなどして対策をたてましょう。
治療には、駆除をするための薬の投与や、薬浴などが行われます。また、ニキビダニやミミヒゼンダニなど、皮膚病を起こす寄生虫は他にもいます。寄生虫からの被害を防ぐためにも、飼育環境を清潔に保つといった対策が必要です。
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犬に寄生する寄生虫一覧
犬に寄生中が寄生した場合、重篤な症状を起こすことがありますので、予防や早めの治療を心がけましょう。また、犬に寄生するとして知られている寄生虫でも、犬や猫だけでなく人間にも感染し、さまざまな病害を起こします。
愛犬を守るためにも、そして飼い主自身の身を守るためにも、寄生虫の種類や生態について知っておきましょう。犬や猫に感染する、代表的な寄生虫一覧です。
・回虫の卵を口から飲みこんだ場合や、母犬の胎盤や乳汁から感染します。回虫が幼虫のまま内臓や目、皮膚の下、脊髄などに以降してさまざまな病害をもたらします。
犬はもちろん、人間の幼児に感染することもあり、幼児の場合は特に重症化するので注意が必要です。大人でも大量の卵が体内に入り込んだ場合は重篤な症状を引き起こすことがあります。犬に寄生した場合は、大きさは18cm以下だといわれています。
・鉤虫犬鉤虫に感染した犬の糞に卵が混入しており、それが孵化したり、この幼虫が犬の体内に入ったりすることで感染します。
また、幼虫が皮膚を突き破り入ってくる経皮感染、さらには母犬の胎盤や乳汁から感染することもあります。犬の体内に幼虫が入ると、小腸に寄生して成虫となり、鋭い牙で小腸の粘膜に噛みついて血を吸います。そのため、大量に寄生されると腸炎や、重い貧血に陥ります。
・瓜実条虫
ノミの体には瓜実条虫(サナダ虫)が潜んでいることがあり、犬がグルーミングした際にそのノミを食べ、感染します。通常は無症状ですが、下痢を起こすこともあり、人へ感染することもあります。人間の場合も、主に幼児に感染した場合に下痢や腹痛がみられます。
・エキノコックス
北海道に生息するキタキツネへの寄生で有名なエキノコックスですが、犬にも感染します。感染後5~10年は症状は現れませんが、幼虫のまま肝臓内で増殖し、次第に肝機能に重篤な症状を引き起こします。放置すれば血液やリンパにのって全身に転移し、90%以上が死に至ります。
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フィラリア(犬糸状虫症)
犬糸状虫と呼ばれる体長12cm~30cm程の麺状の寄生虫が蚊を介して肺動脈などの血管内に寄生します。蚊がいる場所、発生する場所にはどこにでも見られ、予防をしていないと60%感染すると言われるほど高い確率で起こる病気です。
初期症状としては元気がなくなる程度であまり気づかない程度ですが徐々に乾いた咳をしたり疲れやすくなったりし、さらに進行すると食欲不振、痒みや脱毛、腹水、吐血、血尿、呼吸困難、失神、黄疸などの症状が現れます。
対策としてはまず、フィラリアの薬を服用させることが第一です。血液検査をして寄生虫がいないかを確認し確認されれば駆除した後にフィラリアの薬を服用させ予防します。
また、蚊が多い季節になったら蚊取り線香などを使用して蚊を駆除、近づけないようにすることも忘れてはなりません。特に投与する前の子犬がいる場合には蚊の繁殖を防ぐ為に水たまりをつくらないなど細かい気配りが必要です。
ノミやダニ、シラミ
ノミやダニといった健康な犬でもよく目にする寄生虫は吸血したりして生息しています。散歩に出かけた際に飛びついてくることも少なくありませんのでブラッシングなどをこまめに行い、ノミやダニがいないか愛犬を日ごろからよく観察しておくことが大切です。
甚大な病気になる可能性は少ないもののアレルギー反応を起したり、時には発熱や貧血、黄疸などの症状が現れる事もありますのでしっかりと駆除してあげる必要があります。
ダニの場合はピンセットなどで丹念に取り除き、ノミは駆除する首輪やシャンプー、殺虫剤など様々なグッツがペットショップに置かれていますので対策はしっかりしてきましょう。
同様にシラミは寄生しても吸血せず実害は少ないものの繁殖力が強く大量発生しますのでシャンプーなどで細目に丹念に取り除いておく必要があります。
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鞭虫
先端が細く約5cmほどの寄生虫で口から侵入、感染し盲腸や結腸内で寄生し成虫になります。腸内で寄生しても症状が現れない事も多いですが下痢、血便、貧血や食欲不振、脱水症状などを起し衰弱することもあります。
検便により定期的に検査し早期発見に努め、感染していた場合には便の始末と共に消毒を徹底的に行う必要があります。
特に鞭虫の卵は生命力が強く土の中でも繁殖する為、汚染された犬小屋の周りの土を高温で焼いたり、土を入れ替えたり、コンクリートにするなどの対策をして繁殖を抑える方法が効果的です。
鉤虫
犬の腸管を傷つ出血させる鉤虫は歯がかぎ状の寄生虫で腸内粘膜に食い込み血液を吸います。主に口、皮膚から感染しますが胎盤感染、乳汁から感染する場合もあります。
症状としては腸内を傷つけることにより血便、下痢や貧血症状、食欲不振などが起こり胃腸障害にもなり重傷の場合には死に至る事もあります。見た目で毛がパサつき痩せていくので早期発見に心がけましょう。
対策として検便にて虫卵の有無を確認し、感染していた場合には駆虫薬を投与し、貧血が重度なら輸血などをして治療します。重篤になる寄生虫なので定期的に検便による検査をし、犬舎周りを常に清潔に保つように気をくばりましょう。
犬条虫
長さが50cmにもなる犬条虫には体に幾つもの節がついており(100個以上)そこには卵がたくさんつまっており小腸に寄生します。
感染している動物の便と一緒に排泄されノミ類の幼虫がそれを食べノミの体の中で成長し、そのノミが犬の体について痒くなり犬自身が噛み潰してしまったりした際に口から感染します。
症状としてはほとんど現れず、害自体はないように見えますが多く寄生した場合には下痢、食欲不振などの症状が現れ体重減少などがみられる事もあります。一部が便の中にちぎれて排出されたり肛門から出たりするのでしっかり観察すれば見ることも出来ます。
感染していた場合には駆虫薬を与え治療しますが予防策としては、とにかくノミを予防することを念頭に考えていく必要があります。
犬回虫、犬小回虫
成虫になると大きいもので18cmにもなる黄白色の虫で主に母犬が感染し胎盤感染、乳汁感染する為、子犬にもよく寄生しています。卵は土の上、水たまりなど様々な場所に産み付けられます。
体内で繁殖すると栄養が吸収されるので犬の元気がなくなり口臭が酷くなったりする症状が現れます。また下痢や嘔吐、腹痛、貧血などが起こり、多数寄生した場合には腸閉塞や痙攣、麻痺などの神経症状が現れることがあります。
年に1,2回程度は検便してもらい虫卵の有無を確認してもらい感染していた場合には駆虫薬を与えて治療します。
予防としては回虫卵に汚染された便、土壌を口にさせないように気を付けなければなりません。便が排泄された直後には感染力は無いので便はこまめに処理して衛生管理に気を配りましょう。
また、人間にも感染することがあり、特に子供が感染しやすいと言われています。感染すると発熱、発作、肝臓肥大や失明などの危険性もありますので犬に触れた後はしっかりと流水で手を洗うなど子供への指導も忘れてはなりません。
犬の寄生虫の一種「ボットフライ」
犬に寄生して感染症を起こす虫として有名なのはフィラリアですが、「ボットフライ」が寄生する例もあるということをご存じでしょうか。
ボットフライとは、ヒトヒフバエやウマバエとも呼ばれているハエ目(双翅目)に属する科の一つです。ほとんどの種類は中央アメリカや南アメリカで見られますが、亜種は世界中にいるといわれています。
ハエ目の科としては種数が少ない方ではありますが、幼虫が哺乳類などに寄生し、ハエ幼虫症を引き起こすことでよく知られています。ハエ幼虫症とは、傷を伴う皮膚ハエ幼虫症、鼻咽頭、眼、耳道を含む体腔ハエ幼虫症、主に内腔や泌尿生殖器系や腸管を含む内臓ハエ幼虫症などがあるといわれています。
日本ではほとんど聞かない寄生虫と症状ですが、日本でもアメリカミズアブや、Sarcophagacrassipalpisによって引き起こされる腸ハエ幼虫症の報告があるため、決して軽視できないでしょう。
ウマバエには十数種類ほどありますが、恐ろしいのは、特にひとつの動物に非常に適応しやすいということ。馬に適応したウマバエは「馬の腹バエ」、羊に適応したウマバエでは「羊の鼻バエ」などといった通称もあるほどで、なんと人間バエとよばれるものまで存在します。
犬に寄生する例としてはあまり多くはありませんが、犬への寄生も報告されていており、脳にうじ虫が住みついていることもあります。
どの種類のウマバエもそれぞれが綿密なサイクルを持っており、どれも最後は皮膚内にうじ虫となって寄生します。馬の腹バエと呼ばれているハエは草に産卵し、馬がそれを食べると、暖かい口の中で孵化し、口からお腹の中へと送りこまれます。
そこで他の仲間とともに蜂の巣のようなものを作り、そこを寝床としながら、ホストの死組織や生組織、体液物質、または摂取した食べ物を食べて成長していくのです。そしてハエになる寸前、そこから離れて糞とともに体外へと脱出します。
通常、寄生されても症状は出ないといわれていますが、幼虫は種類によっては、消化管内でのそれらの数と場所によっては、犬や人間に重篤な臨床症候群を引き起こす可能性があるともいわれています。
犬が寄生虫に侵された場合の主な症状
お腹の中に寄生虫が住みついた場合、症状が出ないまま体の外へ排出されるケースもありますし、重篤な症状に陥り命の危険にさらされるケースもあります。犬が寄生虫に感染した場合、どのような症状が起きるのでしょうか?
主な症状は、
・元気の消失
・動きが鈍くなる
・お腹が膨れる
・消化不良を起こし下痢をする
・発育不良を起こす
・粘性の血便をする
・貧血を起こす
・異嗜症(食べ物ではないものを食べる病気)を起こす
などです。
寄生虫として有名なのが「回虫」ですが、回虫に感染すると肺炎になり72時間以内に死亡する確率が高いといわれています。
成熟したメスの回虫は、なんと1日に10万個から25万個もの卵を犬の小腸内に産み落とし、便とともに外に排出され、便に汚染された食物や手などを通じて再びお腹の中に入り込み成長します。
多くの場合軽い下痢が見られる程度の寄生虫感染症が、「鉤虫症」です。主に目立った症状は出ないのですが、下痢や貧血、食欲不振などの症状が現れることがあります。
また、「瓜実条虫」は、ノミが媒介する寄生虫なのでより注意が必要だといえるでしょう。瓜実条虫症に感染すると、主に下痢を引き起こします。通常は、感染しても無症状ではっきりとした症状は見られないのですが、多数の瓜実条虫が寄生している場合には下痢や軟便、食欲が落ちるなどの症状がみられることがあります。
子犬の場合は激しい下痢を繰り返し脱水症状に陥ることもあります。下痢をしていると、脱水症状からショック状態になり死に至る危険性があるので、早めに対処しましょう。
下痢を伴う寄生虫による感染症は、瓜実条虫症の他、回虫症、鞭虫症、糞線虫症、鉤虫症、マンソン裂頭条虫症、ジアルジア症などがあげられます。
どの寄生虫に感染しても、子犬の場合は検便で発見する前に命に関わることがあるので、早めの検査と予防が大変重要になります。下痢を引き起こす寄生虫感染症にならないよう、予防は可能です。拾い食いをさせないこと、ノミ予防や駆除薬の定期投与をするのが有効です。
皮膚を食い破る犬の寄生虫
犬が夜中になって悲鳴のような鳴き声をあげたり、年がら年中鳴いたりしていたら、もしかしたら皮膚に住みつく寄生虫が原因かもしれません。
皮膚を食い破る寄生虫として恐れられているのが、ウジ虫です。ウジ虫とは、ご存じの通りハエの幼虫で感染した場合は「ハエウジ症」と呼ばれています。
ウジが体の表面に卵をうみつけて、そのウジが犬の皮膚を食い破って皮下組織へと移動し、食い荒らしながら成長していきます。
一般的に、ハエウジ症には屋外で飼われている犬が感染しやすいと言われています。中でも、体力のない老犬で、自分では思うように動けないような犬がかかりやすいようです。
ハエの活動が活発化する春先は要注意。ニクバエなどは傷口などに卵を産みやすいので、犬の傷には気を配るようにしましょう。
また、汚れている肛門周辺や外陰部、耳孔などにも産みつけられることが多いので、清潔に保っておくことが必要です。屋外犬の場合は、室内犬よりも体に触れる機会が少ないかもしれませんが、頻繁にスキンシップをとることが早期発見につながります。
ハエウジ症にかかると、皮膚を食い破られている痛みから犬にも異変が現れます。今までとは違って年中鳴くようになることもありますし、特に夜中に悲鳴のような鳴き声をあげているようであればハエウジ症が疑われます。また、ウジが寄生すると独特の臭気を発するので、その臭いから気づくこともあります。
ハエウジ症だとわかったら、まずは傷があることが多いので患部周辺の毛を剃り清潔にすることから治療が始まります。患部に産みつけられたハエの卵などを除去して消毒し、次に皮下組織に食い込んだウジを取り除きます。
ウジの状態や犬の症状によっては殺虫剤を使えないことがあるので、鎮静剤などを投与してから傷口を刺激しないようにひとつひとつピンセットで除去していきます。ハエウジ病は、環境によっては再発もあり得ますので、飼育環境は清潔に保つことが大切です。
犬の寄生虫感染は、便を見ればわかる!?
犬の体調を知るためには便を見るといいといいますが、寄生虫に感染しているかどうかも便を見てわかることがあります。
犬が感染する寄生虫は、排便をすることにより卵が外に排出されるのですが、その卵は小さすぎて肉眼では確認することは大変困難です。しかし、成長した寄生虫が排出されることもよくあるので、その際は容易に発見することができます。
犬回虫は、便から発見されることもよくある寄生虫です。回虫は長さ10センチほどまで成長する白くて細長い寄生虫で、犬の胃や腸に寄生します。
犬回虫は寄生虫としては比較的よくみられ、腸管で成長しながら寄生数が増えすぎると便に混じって出てくるようになります。稀に、吐いたものから発見されることもあります。
犬回虫に感染すると、腹部が膨張し、嘔吐、下痢、貧血などの症状を引き起こします。腹部で大量発生すると腸閉塞に陥るケースもあるため、発見した際にはすぐに診察を受けるようにしましょう。
よく、「フィラリア予防をしたはずなのに便からフィラリアが出た」と勘違いされる飼い主がいるそうですが、その場合はほとんど回虫です。
見た目はそっくりですが全く別の寄生虫で、フィラリアは心臓やその付近の血管に寄生します。瓜実条虫もまた、便から発見されることの多い寄生虫です。
瓜実条虫は、その名の通り瓜のような形をした体節が100個以上連なり、体長は50センチをも超える平たいひも状の寄生虫です。
主に小腸に寄生します。卵が入った1センチほどの体節が感染した動物の便とともに排泄されて、ノミ類の幼虫がそれを食べるとノミの体内で感染力のある幼虫へと成長します。
こういったノミを、犬が体を舐めたり噛んだりしている際に誤って口にすると、感染します。瓜実条虫症は、症状といった症状があまり現れないのが特徴です。
大量に寄生した場合には、食欲が低下して下痢をするようになり、体重も減るなどといった症状が見えるようになりますが、気づかないことがほとんどです。
しかし、稀に乾燥した米粒のような体節が肛門周囲に付着していることで気づくことがあります。
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